2010年11月11日

初仕込

醸造長の夏丘です。

朝6時に開始し、午後1時、初仕込が無事終了しました。
四日間つきっきりで教えてくださった吉備土手下麦酒醸造所の永原社長は、今頃は帰路の新幹線に乗っておられると思います。本当に感謝してもしきれません。


 ◇ ◇ ◇

昨日の初仕込は大失敗となりました。
煮込んでいるうちに、撹拌に使用する大シャモジ(ポリプロピレン製)の先端が溶けてしまったのです。そんなはずはない、品質表示にも耐熱170℃と記載されているのに、ビールは100℃を超えることはありません。
しかし本当に溶けてしまったのです。おそらく火力が強いために鍋底越しに高熱となってしまったようです。

こんなものが溶け出したビールは到底飲めるはずがありません。呆然としながらも、仕込を中止しました。高円寺麦酒工房で最初のビールになるはずだった、ジョッキ300杯分のビールを、流して捨ててしまうという事です。

永原さんにはこの日の夜の便で岡山へお帰りになるはずだったのに、本当にお忙しい方なのに、あと一日、僕にくださいました。明日の朝一番に再度挑戦しようと。

急いで代わりの大シャモジ(木製)を買いに、浅草のかっぱ橋へ向かいました。電車に乗ったら、泣きたくなりました。悲しいというより、悔しいというより、逃げ出したいような気持ちでした。このまま電車でどこかへ行ってしまいたいと思いました。

最初は色々と壁もあるだろうとは思っていたのに、本当に直面したら、こんなに落胆するとは・・本当に僕は弱い人間です。


あわてて工房を飛び出したので、鍵を持ったままで、奥さんが家へ入れず、浅草から一旦帰宅し、次に足りなくなったホップを買いに上石神井へ。いまのいまなのに快く用意してくださいました。
それで中野でも買い出して二度と失敗しないよう夜中まで準備を続けました。


 ◇ ◇ ◇

再仕込が終わったいま、感動で涙が止まりません。
酵母を投入するときは手が震えました。まだ生まれる前の高円寺麦酒工房に、命が吹き込まれた瞬間でした。

この酵母は横浜ビールさんに分けていただいたアメリカンエールイーストです。ちょうど仕込が終わったとき、くしくも、醸造長のしんやさんから酵母の調子はどうですかと電話が入りました。離れていても、自分の酵母とは以心伝心なのだと、本当に思いました。しんやさん、ありがとうございます!


これまでビールを飲んだり造ったりしてきましたが、自分の店のビールを造るというのは全く違いました。
ものづくりをする人間としての自覚のようなものに初めて気付きました。
造りながら、責任感や、お客さんの笑顔、緊張感、楽しさと不安、そんなような色々なことを感じました。


IMG_1565.JPG
▲最初のビールになるはずだった。本当に、ごめんね。
 合掌

.
posted by 高円寺麦酒工房 at 16:19| Comment(5) | TrackBack(0) | ビール造り | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
初仕込おめでとうございます!
私は全くの我流で仕込みました。その為初期の物は満足のいく物ではありませんでしたが、もう33回目の仕込ともなると大分納得のいく物になってきています。
岡山の中、高に通っていた私としては羨ましい助っ人ですね。

一日も早く飲める日が来るように待っています。
Posted by 自ビールパブ@洗足 at 2010年11月11日 17:09
失敗は怖い 成功はもっと怖い

友人のバンドの曲の一節です。
失敗の怖さや悔しさを知れば、
その分、人は強くなれます。

開店の日が、楽しみです。
Posted by 東海林 at 2010年11月11日 19:40
失敗は、ある意味財産でもあると思います。これからじゃないですか。
頑張ってください。
Posted by 輪の吉 at 2010年11月12日 01:50
初仕込みおめでとう御座います。

ついにここまで、漕ぎ着けましたね(^。^)
冷却機、25度なら、予定通りで上々です。
攪拌しゃもじは、木製で正解です。
(私の仕事でも木製ですよ)
プラスチック製品はシリコンとテフロンを
除けば、プロ用としては役不足です。
煮込み中、ウォートは100度ですが、鍋底は
遥かに温度が高いです、焦げ付き防止に底を
擦っていた筈ですから、これが原因でしょう。

これから先、発酵・熟成・・と、心配は尽きないと思いますが、がんばってくださいね。
自分が"納得"出来る製品が完成したら
御披露目です。

前に言いましたが、一発目・・・凄く大事です。
Posted by yoshikwwa@川崎大師 at 2010年11月12日 21:17
励ましや応援のお言葉をいろいろいただきました、本当にありがとうございました。
もう早く次を仕込みたくてうずうずしています。上達のためにも、仕込み量を減らそうかと思っています。
yoshikawaさん、はい底を擦っていました。もう木製なので安心ですね!
Posted by 夏丘 at 2010年11月15日 00:26
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/169046971

この記事へのトラックバック