いま地ビールが再び注目されはじめている。初春には朝日新聞、初夏には読売新聞とメディアにも取り上げられた。
かつての地ビールは、観光資源的な側面が強く、設備も大きく、値段も高かった。そのため、地域の方が日常的に飲むものではなく、贈答用や、観光客のお土産、それに都市部への出荷が主な利用となっている。
しかし、私がやろうとしているのは、「街の豆腐屋さんのようなビール」。手造りのビールを、毎日でも飲めるような手頃な値段で販売する。地域の人が自分用に気軽に飲めるビールだ。
例えとして、豆腐屋さんで買う豆腐は、スーパーで買う豆腐と多くの点で異なるが、ビールも、それと同様なのだ。また出来立てのビールが美味しということは、大手メーカーの工場見学の人気ぶりからも分かる。しかし、遠くの工場へ行かなくとも、近所で常に出来立てのビールが飲めるとしたら、ビール好きとしてはこんなに嬉しいことはない。
それよりも重要な事に、ビールには全世界で80のスタイルがあるのに、現在日本で大手メーカーが造っているのは、このうち1つ「ピルスナースタイル」にしか過ぎないということを、知っている人は殆ど居ない。キリンもアサヒもサントリーもサッポロもその点では同じなのである。この残りの79スタイルのうち、日本人に合いそうなスタイルも沢山ある。私の店では、常に数種類のスタイルを楽しめるようにし、ビールの多様性を知ってもらえる場所にしたい。
米国では日本に先駆けビールのルネッサンスがおこり、全米で多種多様なビールが造られている。私のような個人店の形態は「BREWPUB」と呼ばれ、現在では1,000店を超えるほどの発展をしている。
私は板橋で生まれ育ち、学生時代は中野に下宿、結婚して阿佐ヶ谷へ住み、現在は高円寺に移ってきた。慣れ親しんだこの界隈で、地に足の着いた商売をやりたい。
杉並区内で最も若者が多いこの地ならば、ビールの多様性、出来立てビールの美味しさ、手造りビールの楽しさを発信してゆける可能性が充分に秘められている。